★パリに拠点を移してからの初長編『月の寵児たち』と全編アフリカ・セネガルで撮影が行われた『そして光ありき』（どちらもヴェネツィア国際映画祭審査員特別大賞受賞)など長編５作品を収録。

★2023/2/17～ヒューマントラストシネマ有楽町、シアター・イメージフォーラムマほか開催の『オタール・イオセリアーニ映画祭　～ジョージア、そしてパリ～』にて上映。

★2023/9/27発売「Blu-ray BOXⅠ」には、『四月』ほか短編(『水彩画』、『珍しい花の歌』、『鋳鉄』、『ジョージアの古い歌』)、『落葉』、『歌うつぐみがおりました』、『田園詩』、『ある映画作家の手紙。白黒映画のための七つの断片』ほか中編(『エウスカディ、1982年夏』、『トスカーナの小さな修道院』)を、2024/1/31発売「Blu-ray BOXⅢ」には、『月曜日に乾杯！』、『ここに幸あり』、『汽車はふたたび故郷へ』、『皆さま、ごきげんよう』、『唯一、ゲオルギア』の5作品を収録。

ジョージア(旧ソ連グルジア共和国)に生まれカンヌ、ヴェネチア、ベルリンなど世界各国の映画祭で数々の賞を受賞し、ゆるぎない評価を得ているオタール・イオセリアーニ監督の全作品をデジタルリマスターでBlu-ray化！
BOX第二弾は『月の寵児たち』、『そして光ありき』、『蝶採り』、『群盗、第七章』、『素敵な歌と舟はゆく』を収録。

『月の寵児たち』（1984年／フランス＝イタリア／102分／カラー／フランス語）
18世紀のフランス。床に落ち、割れた皿を拾い集める給仕。同じ絵柄を、職人が絵付けし模様を描きこみ、出来上がった絵皿は馬車で運ばれてゆく。19世紀、貴婦人の裸体を描く画家。やがて時代は現代へとうつり、絵皿と裸体画はパリの骨董品売り場に並び、絵皿は女画廊主が、裸体画は警視が、それぞれ手に入れる。美容師のパートナーは技術者で、爆弾を作ってテロリストに売っている。警視宅に忍びこんだ空き巣の父子は裸体画を盗み出す…。
フランス・パリに活動拠点を移したイオセリアーニが、オールパリロケで描いた初の長編映画で、マチュー・アマルリックの記念すべきデビュー作。

『そして光ありき』（1989年／フランス＝イタリア＝ドイツ／106分／カラー／フランス語）
西アフリカ、セネガルの森に住むディオラ族。男たちは川で洗濯をし、女たちは弓矢で狩りをする。女祈祷師バディニャは生首を再び胴体に戻し、狩人の女ムゼズヴェはワニに乗って川を下り、怠け者の夫ストゥラと別れたオコノロは三人の子供を連れて再婚。一方、白人による森林伐採は進み、村の人々は集団移動を強いられる…。
全編アフリカロケで撮影された異色作。

『蝶採り』（1992年／フランス＝イタリア＝ドイツ／118分／カラー／フランス語・ロシア語）
フランスの古い城館で余生を過ごす2人の老婦人。森でピストルを撃ち、オーケストラに参加したりと充実した日々を送る彼女たちの元に、バブル景気の日本から、城を買いたいとビジネスマンがやって来た。老婦人は断固拒否するが、彼女たちのひとりが急死したことから事態は思わぬ方向へ…。
古き良き時代へのノスタルジーをにじませながら、人間関係を変えてしまうお金の力とはかなさ、予測のつかない人生の不可思議さがシニカルに描かれる。

『群盗、第七章』（1996年／フランス＝スイス＝イタリア＝ロシア＝ジョージア／122分／カラー／ジョージア語・フランス語・ロシア語）
現代のパリ。男たちがタバコを吸いながら試写室で映画を見ている。スクリーンに映し出されるのは、豪邸で酔っ払いながら乱痴気騒ぎする大人たちを少女が射殺する映像だ。中世のジョージアで、王は森で美しい羊飼いの娘を見初めてそのまま城に連れ帰る。内戦下のジョージアでは、街には装甲車が走り、ビルの屋上から狙撃手が市民を狙っている。
祖国ジョージアの歴史を荒唐無稽なおとぎばなしに仕立てた群像劇。戦争や暴力を繰り返す愚かな権力者たちをあざ笑い、権力に屈することなくひたすら日々を生きようとする人々を讃えるイオセリアーニ流の人間賛歌。

『素敵な歌と舟はゆく』（1999年／フランス＝スイス＝イタリア／117分／カラー／フランス語）
パリ郊外にある城のような大邸宅で、毎晩パーティーが開かれ、主催者である赤い髪の女がシューベルトの「さすらい」を披露している。家主は彼女の夫だが、彼は愛犬のラブラドールと一緒に自室に閉じこもり、大好きなワインを嗜みながら鉄道模型を眺めるのを日課としている。夫妻の息子ニコラは、毎朝スーツ姿で城からボートでパリ市内へ向かい、身分を隠してアルバイトをしている。ひょんなことからニコラの父は優雅な浮浪者と出会い、意気投合して屋敷に招き入れるが、妻は浮浪者を追い出してしまう…。
様々な人と動物がパリを舞台に交錯するエピソードが、なめらかなカメラワークによってしりとりのように連なってゆく。ほのぼのとした幸福感が心を満たす群像喜劇の傑作。

<キャスト>
『月の寵児たち』アリックス・ド・モンテギュ（女画廊主）、パスカル・オビエ（鉄砲店主）、ベルナール・エイゼンシッツ（エンジニア）、マチュー・アマルリック（空き巣の息子）、カーチャ・ルーペ（美容師）、ハンス・ペーター・クロース（警視）、ジャン゠ピエール・ボヴィアラ（空き巣の父／画家）

『そして光ありき』シガロン・サニャ（女祈祷師バディニャ）、サリー・バジー（オコノロ）、ビンタ・シセ（ムゼズヴェ）、マリ゠クリスティーヌ・ディエム（ラズラ）、ファトゥ・セイディ（コトコ）、アルファ・サン（イェレ）、アブドゥ・サン（ブルデ）、スレイマン・サニャ（オコノロの夫ストゥラ）、ムサ・サニャ（長老ラデ）

『蝶採り』ナルダ・ブランシェ（マリ゠アニエスのいとこの老婦人）、アレクサンドル・チェルカソフ（公証人アンリ・ド・ランパデール）、アレクサンドラ・リーベルマン（マリ゠アニエスの妹エレーヌ）、エマニュエル・ド・ショヴィニ（神父）

『群盗、第七章』アミラン・アミラナシヴィリ（王、サルタン、人民委員ヴァノ、浮浪者）、ダト・ゴジベダシヴィリ（騎士、秘密警察長官サンドロ、乞食）、ギオ・ジンツァゼ（王の楽師、ピアニスト、バイオリン弾き）、ニノ・オルジョニキゼ（王妃、テロリスト、武器商人の妻）

『素敵な歌と舟はゆく』ニコ・タリエラシヴィリ（息子ニコラ）、リリ・ラヴィーナ（母）、フィリップ・バス（鉄道清掃員のバイク乗り）、ステファニー・アンク（カフェの娘ポーレット）、ミラベル・カークランド（金髪のメイド）、アミラン・アミラナシヴィリ（ひげの浮浪者）、ジョアサン・サランジェ（乞食の青年）

<スタッフ>
監督・脚本：オタール・イオセリアーニ

・『素敵な歌と舟はゆく』ストーリーボード　※Disc5に収録

【Blu-ray5枚組：仕様】
本編合計565分＋特典合計約3分／全16：9［1080p Hi-Def］ヨーロッパ・ビスタ／全1層／MPEG-4　AVC／複製不能／セル専用／音声：全DTS-HD MA2.0chモノラル／日本語字幕