黒ずくめの転校生には気をつけよう!
ブラックすぎる!?学園コメディ
そもそも映画を好きになり始めたのは、アルバイトのおかげでお小遣いができ、観たい映画を劇場に行ったりレンタルして観られるようになった頃でした。まだ少女まんが家としてデビューする前で、話を作る参考に洋画を観るようになったのです。もちろん少女まんがも読み漁っていて、その時たまたま読んでいた作品に登場するキャラクターのモデルがクリスチャン・スレーターであることを知りました(作者がファンだったそうです)。あまり海外の俳優にも詳しくなかったので、クリスチャン・スレーターって誰だろう?という興味がわいて、何本か観た出演作の中に『ヘザース ベロニカの熱い日』がありました(なんとVHS)。当時は映画を観ても特に記録しておらず(今は映画の感想をノートに書きなぐっている)はっきりと彼の第一印象を覚えていないのですが、20年ちかく過ぎ、つい最近この作品を観直してみたときのわたしの心の中は以下の通りです。
ぎゃ~若い~!若くて別人~!肌がつるっとしてる~!まだ髪もある~!
なぜかいつもちょっと猫背で(そんなに身長が高いわけでもないのに)、なぜかいつもちょっとまぶしそう(そんなにまぶしいわけでもないのに)な目をしていたスレーター…最近の彼の作品はあまり観ていないのでわからないのですが、今も変わっていないでしょうか。
30年前に作られた本作で彼が演じるJ・Dは、お金持ちのお坊ちゃんにありがち(?)のソシオパスなティーンです。父親の仕事の都合で各地を転々とし、銃を学校に持ち込む危険度2000%の役柄でしたが、彼の顔つきからしていい人の役は似合わないので、まさにハマり役だったと思います。一方、こんな男子と仲良くなったら絶対痛い目に遭うって!という我々の心配をよそに一瞬でJ・Dといい感じになってしまう女子高生べロニカを、かわいさ最強時代のウィノナ・ライダーが演じていました(このときのウィノナ・ライダーは本当に…大きな目と小さい鼻と口が小さい顔にぎゅっとつまっていて、しばらく内容に集中できないほどのかわいさでした…)。
ベロニカはヘザースという学園のいじめっ子美女3人組(全員ヘザーという名前だからという身もふたもないネーミング)に振り回され、いじめの片棒を担がされたり、ダブルデートにつきあわされたりと便利屋扱いされています。ベロニカだって彼女たちに負けないくらいの美女だと思うのですが、いかんせんティーンの美醜の基準は雰囲気重視みたいなところがあり、かわいくても勝ち組になれないという不条理が!このベロニカもメガネではなくモノクルを愛用している時点で個性的という言葉だけでは済まされない気がするので、異質なものを嫌うハイスクールでは浮いた存在なのかもしれません。
そんな高校生活に不満しかないべロニカが、高校生活に不満しかないJ・Dと出会ったおかげで悪夢のような目に遭いつつ物語は進んでいきますが、どこかフワフワと現実離れしている感じに『不思議の国のアリス』を連想してしまいました(単にクローケーをするシーンがあるからなのかも…)。万人に全力でおススメするタイプの映画ではないものの、ブラックユーモアが好きな人にはぜひ観てほしい!
またストーリーだけでなく、ヘザーたちやベロニカのファッション、部屋のインテリアもオリジナルで見ごたえがあります。ヘザー1号の部屋にはわたしも好きなウェイン・ティボーらしき絵が飾られていて、もしかしたら気が合うのかなと思いました(関係ないけどJ・Dの家にあったスネークソファは薬丸裕英の家にもあったのをテレビで見ました)。撮影後に主演の2人が一瞬つきあっていたというのも、ゴシップ好きとしては忘れたくないところです。
あんころもち
元・少女まんが家のイラストレーター。まんが家としては鳴かず飛ばず、売れない時代を映画(主にコメディ)になぐさめられて過ごす。現在はコメディ映画のフリーペーパーやジンなどを不定期で発行中。